松江市にはさまざまな観光スポットがありますが、中でも外せないのが松江城です。国内では12城しかない現存天守を有するお城で、2015年(平成27)には天守が国宝に指定されています。また、お花見や紅葉など季節ごとに変化する姿が見られるのも松江城の魅力です。この記事ではそんな魅力あふれる松江城について取り上げ、見どころやアクセス方法、入場料などをご紹介していきます。一緒に訪れたい観光スポットもご紹介しますので、松江観光を考えている方はぜひチェックしてみてください。(記事公開日:2024年4月23日)
松江城ってどんなお城?
松江城は江戸時代の1611年(慶長16)に完成したお城です。冒頭でもご紹介したように、国内で現存天守を持つ数少ないお城の一つで、2015年(平成27)には天守が国宝に指定されています。松江城は現存する12城の天守の中では1階の平面積が姫路城に次いで2番目に広く、また姫路城と松本城に次いで3番目に高いお城です。その高さは天守だけでも約22m、石垣まで含めるとなんと30mにもなります。外から見ると4重になっていますが、内部は地上5階、地下1階の建物です。
そんな壮大な松江城には、「千鳥城」という別名もあります。東西南北の四方にある曲線の屋根が、千鳥が羽を広げたように見えることが理由と言われていましたが、最近は新たな説も出てきていて、注目を集めています。
また、松江城には他にもさまざまな見どころがあります。
・鯱(しゃちほこ)
木彫り銅板張りの鯱が天守の屋根に2体乗っています。向かって左側に見える雄の鯱は高さが2.10m以上もあり、日本で現存する木造の鯱では最大です。
・石垣
松江城の石垣は、全体の6割が「打ち込み接ぎ」という崩れにくい手法で積まれています。築城当時の石垣を間近で観ることができるのも松江城の魅力です。
・天守内部に散りばめられた戦いのしかけ
現在では観光スポットとして愛されるお城ですが、築城当時の役割は軍事施設。その証として、松江城には戦いのしかけが各所に散りばめられています。先に挙げた石垣もその一つですが、天守内にも敵を攻撃するための狭くて急な階段や、「石落とし」「狭間(さま・はざま)」「石打棚」「格子窓(武者窓)」といったしかけがたくさんあります。
・通し柱
松江城の構造で注目されているのが「通し柱」です。世界文化遺産としても登録される姫路城は大きな心柱が城を支えていますが、築城当時、木材不足の最中にあった松江城は、2階分の短い通し柱を交互に配置するという方法で、天守を支えています。この構法はのちに他のお城の天守などにも採用されるようになり、天守の発展に大きく寄与したと言われています。
・城下町をぐるっと見渡せる天守最上階からの絶景
お城観光に行く際に、天守最上階からの眺めを楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。松江城の天守最上階「天狗の間」は室内に壁がなく、城下町をぐるっと見渡すことができます。天気の良い日には宍道湖も一望できるため、松江の絶景を楽しみたい方にもおすすめです。
・城内のあちこちで発見できる「ハートスポット」
松江城内にはさまざまな場所に「ハートスポット」があります。たとえば「ハートの石垣」。天守に続く「本坂」には「ハート」の形をした石垣があります。また天守内の柱の木目にハートが隠れていたり、さまざまな場所でハート探しができます。ちょっと違った楽しみ方をしたい方は、ハート探しをしてみてはいかがでしょうか。
ハートの石垣
このように、松江城は天守自体にもたくさんの見どころが詰まっています。
さらに松江城は敷地が広く門も多いため、さまざまなルートで周ることができます。松江城の歩き方は公式サイトで詳しく紹介されているため、ぜひチェックしてみてください。遊覧船で松江城周辺を周るコースもありますよ。さらに、松江城のディープな魅力を堪能できるガイド付きの登閣ツアーや御城印集めなどもあり、お城好きも楽しめること間違いなしです。
もっと楽しむために知っておきたい!松江城の歴史
松江城を訪れる際には、その歴史を知っておくとより楽しむことができるかもしれません。そこで、松江城の歴史についても簡単にご紹介します。
松江城は、1607年(慶長12)に築城が開始され、1611年(慶長16)に完成しました。当時の松江藩藩主は第2代の堀尾忠晴。けれども、この時忠晴はまだ幼い子ども。そこで、築城に尽力したのが、祖父であり、後見役である堀尾吉晴でした。吉晴は城普請の名人と言われ、松江城や城下町の建設に貢献し、松江開府の祖ともされています。松江城が完成すると、同じ年に吉晴は死去。またその約20年後には跡継ぎが不在のまま忠晴がこの世を去ります。そこで次に藩主に選ばれたのが、京極忠高(徳川秀忠の娘「初」の夫)でした。またその後は松平直政(徳川家康の孫)が松江藩主を務め、明治時代まで松平家が松江城を守ってきました。
1875年(明治8)になると明治政府より廃城令が下ります。松江城も例外ではなく、櫓(やぐら)や御殿、門などは売り払われましたが、のちに地元の豪農・勝部本右衛門親子や旧藩士の高城権八らの協力で買い戻されています。その後は明治の大修理がおこなわれ、1935年(昭和10)には国宝保存法のもと国宝として指定されています。昭和に入った後は第二次世界大戦の戦火を免れ、再び大修理がおこなわれますが、1950年(昭和25)に法改正があり、松江城は国宝から重要文化財へと改められてしまいます。松江城を愛する地域住民は、国宝としての再指定を嘆願しますが、「新たな知見の発見がないと難しい」という文化庁の回答。再指定の途はかなり厳しいものと思われましたが、松江市と市民が力を合わせ、築城当時の「祈祷札」を発見。築城当時に天守の柱に付けられていた「祈祷札」が、松江城天守が1611年(慶長16)に建てられた証拠として認められ、2015年(平成27)に国宝として再び指定されました。
このように、松江城はさまざまな危機に直面しながらも地域住民の手によって守られてきたお城です。その雄大な姿は、松江城を愛する人たちの想いの結晶とも言えるでしょう。
松江城をもっと楽しめる!季節ごとのイベントについて
松江城では季節ごとに様々なイベントがおこなわれています。その一部をご紹介します。
1月1日 天守から望む初日の出 |
天守最上階から初日の出を望めます。先着30名限定の有料イベントです。
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3月中旬 椿祭り、椿谷探訪 |
松江市の花である「椿」を展示するイベントです。80種100鉢以上の椿を楽しめます。育て方の相談コーナーや椿マップの配布もおこなわれます。また、松江城内の椿をガイド案内付きで散策できる「椿谷探訪」も開催されています。
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3月下旬~4月中旬 お城まつり |
桜の開花に合わせて開催されます。夜はライトアップされるため、夜桜も楽しめます。期間中は本丸が21時まで開放され、お花見を楽しめます。武者行列や安来節コンクール、ステージイベントなどもおこなわれます。
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4月下旬~5月上旬 ナンジャモンジャ開花 |
雪のような白い花「ナンジャモンジャ(ヒトツバタコ)」が開花します。
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9月 秋の名月 |
松江城と秋の名月を楽しめます。
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10月 松江水燈路 |
松江市の秋の一大イベントです。土日祝日をメインに、松江城から塩見縄手通りまで1000個以上の行灯が並び、幻想的な夜を演出します。1か月間開催されます。
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12月 天守すすはらい |
竹で作ったすす梵天で松江城を払い清めます。新年に向けて一の門には門松が立てられます。
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松江城の入場時間、入場料、お得なチケットについて
ここからは松江城の入場時間や入場料などについてご紹介します。
はじめに天守の入場時間と本丸の開放時間をご紹介します。
入場時間
天守入場時間
- 4月1日〜9月30日: 8時30分~18時30分(受付終了は18時)
- 10月1日〜3月31日:8時30分~17時(受付終了は16時30分)
本丸開放時間
- 4月1日〜9月30日: 7時~19時30分
- 10月1日〜3月31日: 8時30分~17時
天守は年中無休ですが、イベントなどで時間が変更になる場合があるため、事前に確認しておきましょう。
入場料
次に天守入場料は以下です。
入場料 | |
大人 | 680円(30名以上の団体の場合は一人あたり540円) |
小人(小・中学生) | 290円(30名以上の団体の場合は一人あたり230円) |
本丸の券売所では、現金のほか、各種クレジットカード、交通系ICカードなど、キャッシュレス決済にも対応しています。また電子チケットもあります。
割引情報
レイクラインバス(一日乗車券、共通二日乗車券)、堀川遊覧船、しまねカード、ジョイメイトしまね(勤労者共済会)、ディスカバーウエストパスポートなどを提示すると、団体料金(大人540円、小人230円)で入場できます。割引対象となるのは基本的には本人のみですが、しまねカードは同行者も、ジョイメイトしまねは本人および家族も対象になります。※割引額および対象範囲は変更になることがありますので、詳細は直接お問い合わせください。
また、松江城天守と小泉八雲記念館、武家屋敷の3巻共通券も販売されています。
通常料金 → 割引料金 | |
大人 | 1,400円 → 1,100円 |
小人(小・中学生) | 640円 → 510円 |
小泉八雲記念館の入館料は大人が410円、小・中学生は200円、松江武家屋敷は大人310円、小・中学生は150円のため、別々で購入する場合に比べて大人は300円、小人は130円お得です。
さらに、松江藩の歴史を楽しめる松江歴史館(基本展示のみ)との2館共通券もあります。
通常料金 → 割引料金 | |
大人 | 1190円 → 950円 |
小人(小・中学生) | 540円 → 430円 |
それぞれ購入する場合よりも大人は240円、小人は110円お得に利用できます。
各種共通券はそれぞれの施設窓口で購入できます。
松江城のアクセス情報
松江城のアクセス情報をご紹介します。
- 住所
- 島根県松江市殿町1-5
- 電話番号
- 0852-21-4030(松江城山公園管理事務所)
- 電車・バスでのアクセス方法
- 最寄駅はJR「松江駅」と一畑電鉄「しんじ湖温泉駅」です。各駅からのアクセス方法は以下です。
- JR「松江駅」から:松江駅からレイクラインバスに乗車し、「国宝松江城・県庁前」で下車します。バスの乗車時間は10分ほどです。
- 一畑電鉄「しんじ湖温泉駅」:市営バス「北循環線内回り」に乗車し「国宝松江城・県庁前」で下車します。バスの乗車時間は5分ほどです。
- 車でのアクセス方法
- 高速道路を利用してアクセスする場合、最寄りのインターチェンジは「山陰道・松江西IC」です。下車後、松江だんだん道路を利用すると約10分で松江城に到着します。駐車場は大手前駐車場と城山西駐車場があります。いずれも有料駐車場です。
地図
松江城観光の際にあわせて訪れたい観光スポットについて
最後に、松江城を訪れた際に足をのばして立ち寄りたい周辺の観光スポットをご紹介します。
〇観光施設編
1.松江歴史館
松江城や城下町の仕組み、歴史などを学べる歴史館です。江戸時代に家老屋敷が立ち並んでいた場所にあります。武家屋敷をイメージした外観で、敷地内には「松江藩家老朝日家長屋」や日本庭園もあります。松江城から徒歩ですぐなので、お城観光の際には立ち寄るのがおすすめです。チケットは2館共通券を購入するとお得です。
松江歴史館
- 住所
- 島根県松江市殿町279番地
- TEL
- 0852-32-1607
- 開館時間
- 9:00~17:00(観覧受付は16:30まで)
- 休館日
- 月曜日(祝日の場合は翌平日)、12月29日~1月1日
2.武家屋敷
江戸自体に500~1000万石の藩士たちが入れ替わり住んでいた武家屋敷です。屋敷の中に入って当時の武家の暮らしをうかがい知れる施設です。屋敷の目の前には、松江城築城の際に造られた城下町の通り「塩見縄手」があります。ちなみに、塩見縄手の名前の由来となった塩見小兵衛も武家屋敷に住んでいた一人です。
松江城からは徒歩で5分ほどです。3館共通券を購入するとお得に利用できます。
武家屋敷
- 住所
- 根県松江市北堀町塩見縄手305
- TEL
- 0852-22-2243
- 開館時間
- 4月~9月は8:30~18:30(入館受付は18:00まで)、10月~3月は8:30~17:00(入館受付は16:30まで)
- 休館日
- なし
3.小泉八雲記念館
作家・小泉八雲(ラフカディ・ハーン)の記念館です。小泉八雲の生涯や、思考の特色などが学べる記念館で、愛用品なども展示されています。小泉八雲記念館の隣には彼の旧居もあり、当時の様子を垣間見ることができます。
小泉八雲記念館は松江城から徒歩ですぐの場所にあります。武家屋敷からもすぐなので、3館共通券を購入するのがおすすめです。なお、3館共通券には小泉八雲旧居の入場料は含まれませんが、共通券を提示すると割引価格で入場できます。
小泉八雲旧居
小泉八雲記念館
- 住所
- 島根県松江市奥谷町322
- TEL
- 0852-21-2147
- 開館時間
- 4月~9月は8:30~18:30(入館受付は18:10まで)、10月~3月は8:30~17:00(入館受付は16:40まで)
- 休館日
- –
〇お土産物編
1.出雲そば
島根土産といえば出雲そば、という方も多いでしょう。「玄そば(殻付きのそばの実)」をそのまま挽いて作る出雲そばは、独特の風味と香りが特徴です。松江城から徒歩1分の場所にある島根県物産観光館(https://www.shimane-bussan.or.jp/sb/)では、お土産品として出雲そばを販売しています。調味料やそば粉などもあるため、島根県ならではのお土産をお探しの方におすすめです。
2.彩雲堂「若草」
彩雲堂(https://www.saiundo.co.jp/)は松江市でも有名な明治7年創業の老舗和菓子店です。「若草」は彩雲堂の代表銘菓。独自製法の求肥に薄緑色の寒梅粉をつけた和菓子で、松江三大銘菓の一つと言われています。本店は松江城から徒歩で20分と少し離れていますが、松江駅からは徒歩で10分ほどです。また松江駅構内直結のシャミネ松江でも販売されています。
3.しまねのマトリョーシカ
松江在住の作家・saruruさんが作るしまねのマトリョーシカ。松江城やしじみなどが描かれたマトリョーシカは、そのかわいらしさからお土産品として人気を集めています。松江城のお堀の端にある「しまえのぢげもん(https://jigemonshop.net/)」というお店で取り扱っています。ぢげもんには他にも島根県内の生産者さんのこだわりの詰まった逸品がたくさんあり、Googleレビュー評価も高いお店です。
出雲そば
〇飲食店編
1.「喫茶きはる」
松江城のすぐそば、「松江歴史館」内にある喫茶店です。「現代の名工」に選ばれた松江和菓子研究家・伊丹二夫氏が手作りした和菓子とお茶を味わうことができます。大広間、テーブル席、濡れ縁の3つのスペースがあり、好きな場所で美しい日本庭園を眺めながら美味しいお菓子を楽しめます。
喫茶きはる
- 住所
- 島根県松江市殿町279番地(松江歴史館内)
- TEL
- 0852-32-1607
- 営業時間
- 9:30~17:00(ラストオーダー16:30)
- 休日
- 月曜日(祝日の場合は、翌平日)※松江歴史館に準じる(→松江歴史館WEB)
2.出雲そば処「八雲庵」
八雲庵は武家屋敷跡を改装した店内で、割子そばや鴨なんばんを楽しめるお店です。割子そばは出雲地方の郷土そばで、200年以上の歴史があります。また鴨なんばんは地元の方にも愛される八雲庵の看板メニューです。お店は松江城の北側のお堀沿いで、武家屋敷の隣にあります。
八雲庵
3.「ろんぢん松江本店」
創業から60年以上が経つしゃぶしゃぶ・すき焼き・西洋料理のお店で、松江城のお堀沿いにあります。大正ロマンを感じられる店内で、ノスタルジックな雰囲気の中で地元の食材を堪能することができます。また店内には人間国宝・芹沢けい介氏ののれんをはじめ、さまざまな民芸品が展示されていて、食事はもちろん、芸術品も楽しめます。
ろんぢん松江本店
まとめ
この記事では、島根観光には外せない松江城の見どころをご紹介しました。また、入場料やアクセス方法、観光の際に一緒に立ち寄りたい観光施設や飲食店、チェックしたいお土産品についても取り上げました。松江城は現存天守はもちろん、季節によって変化する城内の風景やイベントも楽しめる観光スポットです。今回の情報を参考に、松江城周辺の観光をぜひ楽しんでくださいね。